レ・ミゼラブログ
エロゲ感想記(休憩中)

エロゲ感想その4 -世界ノ全テ-

世界ノ全テ 2002年4月26日 たまソフト
世界ノ全テ -remind of you- 2002年12月13日 たまソフト
世界ノ全テ -two of us- 2006年9月28日 イエティ
世界ノ全テノ全テ 2012年8月31日 霊岳ソフト
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前回最後の通り始めた世界ノ全テ。リメイク版を買ったようで、発売日的にはるくるより最新だった…。
始めて思ったけど、これ9月~1月が舞台だからそのへんにすればよかったと少し後悔。今後はそのあたりも気をつけよう。
そんなに長いゲームじゃないと思うんだけど結構時間がかかったのは4月っていうのは忙しいんだよ。

重い話やら神話級のSFが続いたりしたから青春ものということで始めたこのゲーム。
この目論見は当たりだった。世界は危機を迎えないしループに入ったりもしない。ただただ続く何気ない学生のやり取り。
それはこのゲームをやる直前まで望んでいたものなんだけど、そもそも自分がエロゲに望んでいたものではないというか。
やっぱり心に食い込んでくる、時にえぐり込んでくるようなものがないとわざわざエロゲをやる意味がないというか。
そういう覚悟でこっちもプレイしているんだよ!

だから途中までは、あーはずしたかなーと思っていた。
でもそれは攻略する順番が間違っていたというか、そもそも他のルートいらなくねというか。

これは正ヒロインただ一人のためのゲームだった。

ネタバレあり。
#1. システム

公式ジャンルは公式サイトがないため不明。wikiには青春ADVとか。もうちょっと絞ったのが欲しいけど2002年の作品にあまりどうこう言わない。広すぎるけどだいたい合ってる。

そう、2002年のゲームだけあってインターフェースというか見せ方というか、いろいろ時代を感じる。わざとやってるんじゃないだろうかというくらい古い。
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なんだろうこの謎にメカっぽいウィンドウは。いやまあ何も言うまい。

テキストは3行固定。透明度調整はあり。このへんは基本を押さえてくれればいい。

文体は一人称形式。ほぼ誰にも交代することなく、ひたすら主人公視点。青春ものだし群像劇でもないし、まあいいんじゃないだろうか。
正ヒロインハッピーエンドの終盤で、少し変化がある。

バックログは1ウィンドウずつ。シナリオキャプチャー派としてはキャプ数が余裕で1万を超えるのでやめていただきたい。

CG鑑賞、シーン回想、BGM鑑賞。これがまた見せ方が古い。
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古いっていうか古いエロゲをやったことがないからわからないけど、不便を感じるということはきっと古いんだ。
最初CG鑑賞だけでシーン回想ないのかなあと思ってたけどよく見るといくつかのCGに再生ボタンが。地味だなあ。ちなみにエロシーンのみ。あともうちょっと1CGのサイズ小さくしてページ数少なくした方がよかったと思うんだ全37ページって。あとBGM鑑賞を無理やり同じ画面にはめているのも×。好きなBGM聴きながら好きなCG見る以外に何かメリットあるんだろうか。全トラック数59個なんだからフル画面使って一覧表示すればいいのに。
2002年のゲームのインターフェースに何を文句言ってるんだろう。
シーン回想にOPEDが入っているのは優秀。

セーブファイル数は雰囲気的に80くらいできそうなんだけど、というのはナンバリングは74まであるんだけど、実質40個しかない。自分の環境だけなんだろうか。選択肢ポイントが多いゲームなので考えなしにセーブしていくと一気にいっぱいになる。しかも1作品だけじゃないからフルにプレイしようとすると本当に各ルート1~2セーブくらいにしないといけない。何度でも言う。エロゲのセーブファイル数は100個でも何個でも多いに越したことはない。

#2. 主題歌、BGM

OPEDはこれでいいと思うけど、挿入歌は自分が実際聴いた以上にサントラにはあるから、聞き逃してるのかもしれない。まあ仕方がない。

OP:kala「未完成の城」

全体的にかっこいい曲。ピアノならともかくなんでバイオリンなんだろう。映像は結構がんばってると思う。後奏に被さるあたりからがいい。これはDirector's Cut版OP映像で、無印はまた別の映像がある。

OP(remind of you):kala「Walkers」
サントラの曲名は「未完成の城 Walkers」。要は未完成の城のインストに少し歌とコーラスを加えたもの。動画もあるけど割愛。

ED:kala「君のために」~「未完成の城 ED Version」
無印とDirector's CutのハッピーエンドのED。智子ハッピーでも曲はこれで、映像が智子バージョン。君のためには割と普通の曲。remind of youが良すぎてどうしても霞む。動画は見つからず。

ED(remind of you):kala「-remind of you-」

動画がなかったので歌だけでも。これは名曲。remind of youのみで聴ける。智子ゲーなので映像は智子オンリーで、基本はDirector's Cutと同じで絵が少し違う。どれくらい名曲かっていうとサントラだけ先走って聴いてて初聴でびびっときた。AメロBメロ良くてサビが最高にいい。短い曲でしつこくないのもいい。作詞はkalaでありまりも神。これを最後に聴けてよかった。

挿入歌:kala「freewill」(冒頭を始めとして随所)
ストーリーのキーとなる曲。歌詞は玲子を描いたものか。ピアノバージョンはいつまでも聴いていたくなり、バンドバージョンもいい。

挿入歌:kala「PEACE-TIME-PLANET」(智子ルート12/2)
智子ルートのみ挿入歌のオンパレード。なんという贔屓…。幸せ絶頂期に流れる曲。すごくいい曲。

挿入歌:kala「祈る夜」(智子ルート12/21)
BGM「聖夜にて」のボーカライズ。ようやく手に入れたつかの間の幸せの時間に流れる曲。未来を祈る二人。ちなみに朝のシーン。すごくいい曲。

挿入歌:kala「光と影」(無印智子ルート12/22)
仲間たちとまったりした時間に流れる曲。同じシーンでも無印のみこれ。ある意味希少価値高い。すごくいい曲。Aメロが一番好き。

挿入歌:kala「Energy field」(Director's Cut、remind of you 智子ルート12/22)
光と影と同じシーンで流れる曲。何故か作曲の人とkalaのユニット名が曲名。なんでこれEDクレジットにないんだろう。すごくいい曲。

挿入歌:kala「世界ノ全テ」(智子ルート1/6)
智子が消えた朝に流れる少し悲しい曲。浩の心情を描いた歌詞。ゲームタイトルを冠した曲名だけど、そんなに存在感はない。

BGM:細井聡司
BGMといくつもの歌が素晴らしいと評判のこのゲーム。確かにいい曲が多い。というか曲数が多い。
お気に入りは「屋上から見える海」「その微笑に」(「傷の舐め合い)「はち合わせ」「暁」「慰め」あたり。基本ピアノ曲が好きだよねうん。「かすみ」とか「中井戸&村上」みたいなのも好きだよ。

#3. キャラデザ・原画 大崎シンヤ、BAB

たまに「ん?」って思う絵があるけど概ね受容できる絵。まあどちらかというと好きな絵柄。綺麗な絵は凄く綺麗。というかシナリオだけじゃなくて絵も正ヒロイン贔屓なところがあるよね絶対。あと私服が全員一着ずつしかないけどもう少しバリエーションあってもいいんじゃないかな!

#4. エロ

青春ものだけあって基本的に愛が成就すると為される。そうじゃない時もたまにある。シナリオ自体に気になる謎みたいなのがないから、はるくるとかにあった「今エロ邪魔!」感は薄い。あって邪魔になるものでないし、あって然るべき展開だし、かといってなくてもいい程度。2006年にはPS2版が出ているようで、まあエロなくても問題ない。

#5. ルート分岐

攻略可能キャラは4人。基本ルートは3つ。それぞれバッドエンドとハッピーエンドがあり、1人だけ追加で別キャラエンドがある。つまり7つのエンドがある。
このゲーム、今までやってきたゲームの中で一番選択肢が多い。昼休みや放課後にどこに行くかについて4つの選択肢が出て、それによってキャラごとの好感度が変化し、どこかのタイミングでルートが確定する。好感度は内部パラメータで非表示。これと決めたキャラがいるならひたすらそれらしい選択肢を選ぶしかない。自分は気分でフラフラしてしまうから、最初は智子狙いだったのがいつの間にかほのかルートに。他の場所行ったらどうなるんだろうって気になるじゃないか。
バッドとハッピーの分岐は、各ルートに1つずつ固定されてある。つまりそこの選択肢を選べば、その後の選択肢は全然関係ない。このあたりは攻略サイトを見ないとその分岐点を見つけるのは難しい。

ちなみに、基本的にどの選択肢を選んでもシナリオは変わらない。例えばAとBがあってBを選んでも、シナリオは強引にAの方向へと仕向けられる。ただ、それを選んだことは内部パラメータに追加されていってるんだと思う。これはバッドとハッピーの分岐点の選択肢でも同じで、その時点ではシナリオは変わらない。後々で、終盤になってエンドが変わる。
唯一選択肢が直後のシナリオに影響を与えるのは、ほのかルートとかすみルートの分岐点。自分は1周目で不本意にほのかルートに入ったあと、まあいいやと思ってかすみルートに入りました。1周目って真打ちじゃなくて実験的なことをするよね。本当は最初は智子狙ってたはずだけど。

ルート分岐とは別に、このパッケージについて。
自分が買ったのは「世界ノ全テノ全テ 限定版」であり、これはまず初期状態では「世界ノ全テ Director's Cut」のみプレイできる。これは公式によるとこういうものらしい。
”2002年に発売した「世界ノ全テ」「世界ノ全テ -remind of you-」、2006年に発売したPlayStation2®版「世界ノ全テ -two of us-」の全CGを塗りなおし、さらに新規CG40枚を追加し、好評だった智子ルートを担当した初代ライターが全編を再編集したタイトルです。”
つまり内容的にはこれがすべてをひっくるめた完全版ということ。
これをクリア(実質的には智子ハッピーエンドをクリア)すると、「世界ノ全テ」、「世界ノ全テ -remind of you-」の2作品がプレイできるようになる。通常版はこれがないらしい。作品ごとの違いは、ホイールで流しながら見たから見逃してるのもあると思うけど、
・無印、remind of youそれぞれに新規OP映像。
・無印、remind of youはライブシーンの背景が少し違う。
・他にも背景と立ち絵がいろいろ違う。
・智子ルートで12/25智子が病院を去る時、Director's Cutでは智子の後姿のシーンが新規CGとして加わっている。
・他にも殴られて倒れこんだ智子、病室で振り返る智子、1/5の智子など新規CGいろいろ。基本的に智子ゲーに拍車がかかっている。
・無印、remind of youから削られたCGもいくつか。智子ルート1/5のキスシーンは無印、remind of youの方がいやらしくてDirector's Cutの方が幻想的。
・玲子と浩がすれ違うシーンは明らかにDirector's Cut、remind of youの方がいいね。
・12/20智子ルートDirector's Cutでは新規エロシーン追加。中井戸覗いてたんじゃあこれ…。
・remind of youでは大木の立ち絵がいくつか。Director's Cutに入れてもよかったのに。
・挿入歌、OP、EDが違う。
・無印だけ終わり方が違う。remind of youとDirector's Cutはだいたい同じ。
・remind of youはルート固定。

まあ智子ルートしか再プレイしてないからこのくらいしかわからない。
ということで、 Director's Cutをクリアしたあと無印を、その後にremind of youをプレイした。

#6. シナリオ 霊岳、逆神喧云、O-take

基本となる流れは以下。

主人公は宮本浩。いやもうちょっとひねった名前なかったんだろうか。これまでも学とか武とかあったけど、まああれは名を体を表すというか。アリスとかメアリもたいがいだと思うけど。いやいいけどなひろし。
全くやる気のない浩は熱い勧誘で軽音部に入る。作曲家要員として、前から気になっていた智子も誘って入部させる。浩も智子もほぼ同時期にやってきた転校生だった。智子は親元を離れ祖母の庇護の下一人暮らし。文化祭ライブのために練習したり遊んだりする部員たち。文化祭当日、ほのか・かすみルートでは意地悪教頭によってライブは中止になる。智子・まりもルートでは浩が風邪で声が出なくなってまりもが歌って無事成功する。その後ルート確定が起こって、それぞれいろいろ。智子以外のルートであっても、浩は智子が気になり続けたというのがポイント。ここでかすみルートだけはここからの流れからドロップアウトする。やがて物語は佳境へ。智子の祖母が倒れ、父親が智子を連れ戻しにやってきた。智子は自宅に軟禁され、部員たちは智子誘拐作戦に出る。誘拐は成功し、廃ライブハウスに立てこもる。やがて父親に見つけられ、バリケードで粘るが、瑞樹の心臓病の発作により外に助けを求めることになり、立てこもりは終了。智子は自宅に帰ることを条件に、今回の騒動をなしにしてもらう。そしてそこから、それぞれのルートごとのシナリオが展開していく。

ちなみに本作は2002年のゲームで、実際の時代設定は不明だけど、とりあえず高校生であろう彼らは携帯電話を持っていない。家に電話をかける以外に個人間の連絡はできないという制約が一つのポイントだったりする。まあ携帯持ってる設定でも出なければいい話だけど。携帯は世界を変えたなあ。

各ルートの概要。
どうせだからやった順に。狙ったわけじゃないけど端から端からという感じになってしまった。全部1周目にほのかに行ったのが悪い。

<かすみハッピー>
ほのかルートの亜ルート。ほのかと智子の中で揺れ動く浩にかすみ先生がアドバイスしようとしたら次の瞬間にかすみルートに入っていた。何を言っているのかわからね(ry その後いろいろ凄いことになって部員たちにもバレて非難轟々。というか殴られまくる。唯一智子だけは普通に喋ってくれた。このことにあまり意味はないけど。何も持っていなくて何に対してもやる気のなかった浩が見つけた、自分の場所。その軽音部を失って、それでも自分にはかすみ先生がいてくれる。他にはもう何もいらないエンド。エロ多めルート。ハッピー?ハッピーだな。
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<ほのかバッド>
立てこもり後、年が明けて、会う約束をする浩とほのか。浩は待ち合わせ場所で偶然智子で出会い、けじめと別れのキスをする。それを見ていたほのか。あるある。それ以降拒絶し続けるほのかに襲いかかる浩。終わり。物凄くどうでもいいシナリオ。このルートのほのかとかすみには結構いらいらしてた。浩もこういう手合いにはドライに行こう。

<ほのかハッピー>
分岐点は結構前に遡るけどそのポイントにどういう意味があるのかよくわからないから割愛。基本的にバッドと同じシナリオで、襲いかかる直前で襲わない展開。言葉巧みに誘ってから結局やることは同じ。2人はよりを戻して終了。これもどうでもいいシナリオ。というかほのかはどうでもいい。
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わかってるじゃん。

<まりもバッド>
立てこもり後の年明け、立てこもりの際に智子の父親に雇われたチンピラがまりもを覚えていて、突然襲われる。そのショックから抜け出せない浩はまりもを拒絶し続け、まりもポエムでようやく我に返ってまりもを見つけ出した時には既に遅すぎた。雪が降りしきる中ベンチの上で冷たくなったまりもを前に、呆然と雪を被り続けるしかなかった。
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ありがちなバッドエンド。メインキャラの中で唯一の死人。あとなんで智子は突然戻ってきたんだろう、その後も学校に居続けたけどフォローも何もなかったし。

<まりもハッピー>
立てこもり後の年明け、バッドエンドと同じ展開。ショックを紆余曲折を経て2人の愛で乗り越えてハッピーエンド。
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物凄く適当になったけど要は間一髪間に合ったんだよ。いや最後の雪のあたりのシーンとか結構いい感じだからそこそこ見ごたえはあるシナリオ。まりも自体のキャラもいい。ただしそれでもメインディッシュを前にしたサラダくらいでしかないんだよ。

<智子バッド>
毎日毎日屋上に通いつめてやっと辿り着いた智子ルート。思えば長かった。ドキドキ同棲生活。結構軽いんだな…。
他ヒロインのルートでは常に智子という引っかかりがあったからもやもやしてたけど、智子ルートなら智子一直線で行けるから清々しい。
というか智子ルートやってわかったけどいろいろあれだな、これ智子ルートありきのシナリオで、他ルートだと未解説のまま現れる情報とかあって混乱する。それでも智子ルートやってから他ルートやっても全然おもしろくないと思う。そのへん完成度低いと言わざるを得ないかもしれない。それくらい智子ルートでいろんな情報が出てくる。

立てこもり後の年明け、元日。智子はひょっこり浩の前に現れ、デートへ。そこへ父親が怒り心頭で現れ、浩をかばった智子が頭を打ち、一過性の記憶喪失になる。3日ほどで記憶は戻り、父親の元へと連れ戻されるが、再び抜け出して浩の前へと現れる。その時浩は智子の主治医からすべてを聞いていて、智子も記憶を、すべての記憶を取り戻していた。

智子には双子の姉の玲子がいた。玲子は心臓病で外へ出ることができず、健康な智子の話をいつも聞いて育ってきた。外の世界への強い憧れによって、玲子は健康な智子を妬み、憎む寸前まで来ていた。智子の話が玲子の世界の全てだった。
やがて玲子の心臓に限界が来た。発作で倒れて手術しようにも移植しかないとなった時、偶然か、智子を嫌い玲子を愛した父親によって仕組まれたのか(ハッピーエンドで謀殺が確定)、交通事故で瀕死になった智子が運ばれてきた。智子は自分の心臓を玲子に移植するよう頼み、亡くなった。こうして玲子は智子の心臓で健康な体として回復することになった。
目を覚ました玲子は自分のことを智子と名乗った。智子の記憶を持っていた。心臓が人格を持つわけがない。玲子は智子の話を聞いて育ったわけで、自分の中に智子から聞いた記憶、智子への憧れを材料に、智子の人格を形成した。解離性同一性障害。
以来玲子は智子として生き、彼女の中では姉の玲子は心臓病で死んだことになった。智子の父親は智子を玲子と呼び続けていた。それは玲子への異常な愛というよりもむしろ、真実を語っていたわけである。智子としては父親に異常性を感じ、玲子のふりをすることにした。これが3年前。

そして今、智子はすべてを理解し、頭の中で玲子の目覚め、玲子への交代を待っているのだった。智子は玲子が想像の世界で作り上げた虚像である。玲子への交代は智子の消失を意味していた。
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やがて智子は眠りにつき…眠りから覚めた彼女は玲子の人格になっていた。玲子にとってこの3年間の出来事は夢であり、記憶は残っていなかった。魂を人格に求めるなら、人格を記憶に求めるなら。「智子」はこの時、死んだのだ。
ついでに父親は薬物中毒で同じ朝に死んだ。何がしたかったんだ…。

その後、浩は人ごみに玲子を見つける。しかしそれは同じ顔をした別人である。浩は智子の思い出を糧に生きるしかなかった。
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これは確かにバッドエンドだけど、まぎれもなく一つの結末である。人格だけの存在、想像だけの存在、夢だけの存在。そんな智子が生きた意味はなんだったのか。玲子の中に消えていった虚像の少女を自分の中に思い出として満たして、生き続ける主人公。それはそれで美しいんじゃないだろうか。

見つけた玲子に野性を隠しきれずにアプローチする、または打算的に玲子にアプローチして智子と再会する方法を模索するくらいのハングリーさが欲しかった気もする。

<智子ハッピー>
バッドエンドでは玲子を見つけても冷静に現実と思い出を区別できた浩。実際にそのまま正気でいられたかどうかはともかく、物語はそこで終わった。
ハッピーエンドにおいては浩は智子と同じ顔をした人を前にして正気を保てず、その後抜け殻のようになり、ある大雨の日に家を出て智子の部屋を目指す。二人にとって約束の場所であり、智子ルートのキーとなる場所である。軽音部の仲間たちが浩をなだめる中、まりもだけが大雨の中、玲子を訪ねた。
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見知らぬ人を前に玲子は困惑するが、まりもはラジオを渡して去る。ラジオから流れてきてのは、これは狙ってやるにしてはかなり偶然と運頼みだったと思うけど、まりもの詩だった。記憶を失っても未来に向かう二人を歌った詩。その時玲子の心に鳴り響いた智子の声。それがトリガーとなり玲子は浩を、仲間たちを思い出し、やがてすべてを思い出した。玲子として、智子の記憶を抱いて。人格を記憶に求めるならば。魂を人格に求めるならば。雨は止み、夜は明け、玲子は約束の場所へと向かい――ハッピーエンド。

まずまりもが有能すぎる。まりもがまずポエムを投函したこと、その内容がトリガー足り得る内容だったことが奇跡。投函を思いついた頃からラジオを玲子に渡すつもりだったんだろうか。玲子宅に向かったのは突発的だった気もするけど。そしてしれっとラジオを渡す行動力。浩と玲子はまりもに足向けて寝られないよね。その後玲子がすぐにラジオを聴いたのも奇跡だった。普通雨の中聴かないだろう。しかもこれかなり深夜のはず。放送時間がずれこんだとかなんとか。奇跡すぎる。

バッドエンドでは思い出にしまいこんだ智子。その智子を99%のまりもの行動力と1%の奇跡によって解放させたハッピーエンド。バッドの感想で自分は玲子として新たに付き合うか、交代制で智子を一時的に復活させるかで解決かなと思ったけど、ハッピーでは二人の融合という形。まあ一番自然というか、ちょっと都合が良すぎるかなと感じたりも。そもそも思い出すという元も子もない札を出していいのかと。それもまりものポエム…。いやいいんだけど。浩は何もしてなくて廃人状態で智子の部屋で待ってただけっていうのもなんか。もっとまりもは讃えられてもいいと思うんだ。

世界の全てとはなんだったのか。若い浩たちにとってこの町は世界の全てであり、玲子にとって智子から聞かせられる言葉は世界の全てであり。そして、物語のテーマと言える、壊れてしまうほどの危うさを孕んだ愛。自分のすべてを差し出し、相手のすべてを欲しがる。嬉しさと悲しみを共有し、互いを世界の全てと思う。浩にとって智子は世界の全てであり、智子にとって浩は世界の全てだった。
言葉だけ取ればそんなに奇特なことを指しているわけでもない、まあよくある精神論。だがそれを体現するのは難しい。彼らはギリギリの深淵で、なんとかお互いを見つけて、生きることができたのだ。

<智子ハッピー無印>
まずバッドエンドはDirector's Cutと同じ。絵が違うくらい。玲子と浩がすれ違って浩が智子を思い出にして終了。
絵の違いが結構大きくて、比べると凄い。上が無印で、下がDirector's Cutもしくはその起源としてremind of you。
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remind of youとは8ヶ月しか変わらないんだから最初からもう少しがんばっとけば…。あと智子と玲子で髪飾りの違いはともかく、髪型が違うのに気づいてなかった…。雰囲気違うと思えばこれか。無印はその演出はされてないようで。

ハッピーエンドは、Director's Cutではその時村上と中井戸もいて、浩が廃人になってまりも神によって導かれるという展開へ。
で、無印では。バッドエンドと全く同じ一人の状況ですれ違った浩。思い出にしまいこもうとする浩。その直後。
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Director's Cutでまりも神のポエムを聴いたあとと同じテキストが流れて。浩を思い出す描写はないけど、その予感をさせてEDへ。

バッドエンドに若干付け足しただけだけど、結構これで十分な気もする。Director's Cutは浩が廃人になるだけなのがなんかなあと思うのと、まりも神のおかげというのがなんとも。無印では玲子が今後、玲子だけの力で智子の部屋に帰ろうとする予感で終わって、しかもすっきり感が心地いい。あとなんと言っても最後の絵(上の絵)がいい。これDirector's Cutではなくて、智子ハッピーエンドEDでのみ見られる絵で、気になってたんだよ。いやDirector's Cutでもどこかに挿入してよかったと思うけど、やりようがなかったんだろうなあ。すごくいい絵。

説明しないまま、描写が少ないまま終わるシナリオと、いろいろ説明して描写して終わるシナリオとどっちがいいのかなってよく思うけど、今回に限っては描写少ないままの方がすっきりしてていいかなと思った。
まあ無印を先にやってからDirector's Cutをやってたら同じことを感じたかどうかはわからないけど。
この無印ハッピーエンドは凄く好き。

<智子ハッピーremind of you>
最初に。このremind of youは智子ゲーの真骨頂である。何が凄いって別ヒロインルートにするべく進めていても強制的に智子ルートになる。

まずこのremind of youはこれまでと違い、いきなりゲームの冒頭が研修医大木温幸視点で始まる。彼は誰かというと、Director's Cut智子ハッピーエンドで少しだけストーリーテラーとして活躍するキャラで、と言っても居ても居なくてもストーリーにはあまり影響ないんだけど、一応そういうキャラである。彼は当然、智子ハッピーエンドでしか出ないキャラであり、彼が冒頭に出るということはこのゲームの方向はそういうことである。

冒頭の大木視点は智子ハッピーエンドの1/6朝に接続される。昏睡の智子(玲子)を収容し、大木視点で今から始まるエピソードを予感させ、視点はいつもの9月の浩へ。ここから他ヒロインルートへ行く好感度稼ぎもできるんだけど、まあ無駄なんだよね。未来は決まってるんだから自由に動けるというメリットはあるかも。

智子ルートの途中、12/1後、舞台は1/6玲子視点で玲子の目覚めへと一瞬移る。
そして終盤、1/6が終わり、シナリオはDirector's Cutハッピーエンドと同じ、中井戸と村上を連れて玲子とすれ違うシーンへ。玲子を見た浩はその衝撃に耐えられず廃人化の予感を漂わせて終了。と思いきや、どうやら話が続く。これ、選択肢的にはバッドエンドのつもりでやってるんだけど、シナリオはDirector's Cutハッピーエンドとほぼ同様に続いていく。あとで何回か試したけど、これはハッピーエンドしかない。つまり最初から最後まで一本道の、至高の智子ゲーなのである。

Director's Cutハッピーエンドとの違いらしい違いは、まず智子の記憶を取り戻した玲子が智子の部屋へ向かうとき、軽音部の仲間たちと会うシーンがあること。なんでこれDirector's Cutでは削除したんだろう。まあ蛇足と言えば蛇足かもしれないけど。玲子がまりもを崇めるシーンがあってもよかったと思う。
あと後日談がない。remind of youは大木の感想で終わるところを、Director's Cutハッピーエンドでは大木視点のシナリオが日記として浩に渡されて、その時点では本編の8年後になっていて、後日談が語られる。あってもなくてもいいような後日談だけど、まあそれぞれがそれぞれに幸せなようにやっているようで。
ところでremind of youの森本先生はニュータイプか何かなんだろうか。どう考えてもリアルに未来が見えていて恐い。
ちなみにremind of youのED「-remind of you-」の歌詞はまりも神の詩。そら神曲なわけだ…。

#7. 登場人物

兼役多いなあ…。まあ言われないと気づかないんだけど。
浩以外のほぼ全キャラが関西弁。これ全員関西出身の声優なんかね。特に関西である必要性はないシナリオ。趣向としては嫌いじゃない。

中井戸 麗次 CV:堀川忍
うるさい。あまり考えてないし割とヘタレな軽音部部長かつギター。

村上 秀一 CV:重谷麻也
しずか。怒鳴ると必要以上にうるさい。いろいろ考えててまりもバッドエンドではようやくガタイの良さを見せつけるドラム。

村上 瑞樹 CV:野宮香央里
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比較的軽症なものの玲子と同じ心臓病ということで智子と仲がいいマネージャー見習い。
まあまあかわいい。攻略はできないもののエロあり。

草薙 ほのか CV:上井みゅん
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地味なマネージャー。うじうじキャラが立てこもり事件で強キャラへと成長したらしい。基本的に鬱陶しい。

草薙 かすみ CV:理多
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理多だー。エロ担当。顧問。あまりシナリオには関わってこない。ちょくちょく教師らしく注意したり興味で茶々を入れたりする。かすみルートでは大人の勝手さが見て取れる。

櫻井 まりも CV:上井みゅん
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まあまあかわいい。後輩キャラ。ポエマー。ベース。中井戸とは漫才コンビを組んでいる。
智子ハッピーエンド(無印以外)における神。

宮本 浩
両親とそりが合わず、すべてに無関心だった9月当初から、転校、入部、バンド活動、仲間をきっかけに心を開いていく。エロゲの主人公っていうのはたいてい家庭環境が悪くて心に闇を持ってるよねなんか。鈍感なところもエロゲ主人公ならでは。肝心なところでうだうだしてて、割といらつく。智子ハッピーエンドでも廃人化して智子の部屋で待ってただけだし…。あれ、全然いいところがないぞ。まりもとほのかはともかく智子が惚れたのもなんでなのかよくわからない。多少境遇が似てるかもしれないけど深刻さが違うし。まあいいか。

小西 智子 CV:野宮香央里
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体は玲子で、双子の妹の智子の記憶からその人格を作り出し、その結果がヒロインとしての智子である。オリジナル智子もまた幸せとは言えない環境で育ち、人格としての智子もまた未だヒステリーを起こす父親の元にあった。智子は玲子を演じて3年ほど過ごし、そして祖母を頼って家を出て、転校してきた。智子のピアノ、あれはおそらく玲子本来の能力である。Free willの歌詞も玲子の境遇にマッチするものである。智子もまた心を閉ざして過ごしていたが、浩と出会い、仲間たちによって心を開いていく。オリジナル智子は元々明るく友達のできやすい性格だったのだ。
智子ゲーだけあってキャラデザ、シナリオ、イベントCG、エロとすべてが優遇されている。実際かわいい。他ヒロインルートであっても浩に積極的だったりするところは好き。浩と付き合いだしてもめんどくさくない性格も良し。ちょっと依存しすぎな気もするけど。そのせいで序盤とのギャップが凄い。心を開いたことによってオリジナル智子本来の性格が出てきたのかもしれない、作り出した人格であったとしても。
玲子は自由に生きていける。浩と、智子と共に。

#8. 最後に

解離性同一性障害やらなんやら扱ってるけど、特に終末世界に行くわけでもなく、基本的に青春ADVというので合ってると思う。解離性同一性障害というと記念すべきエロゲ感想連作第1作目のCARNIVALを思い出さずにいられない。トリガーはだいぶん違うけど。学は防御のためにゼロから武を作ったけど、玲子は智子の話から智子を作った。心臓をもらったっていうのがそんなはずはないけどなんともまた。武は消滅してしまったけど、智子の記憶、そして人格も玲子が受け継いで一緒に生きていく。
あとセリフが凄く日常的というか、たいしたことない言葉のキャッチボールのみで物語が進んでいくのが何気に凄い。普通もっと凝ったセリフまわしを使いたくなる気がするけど、無口気味な浩と智子だからか、セリフにほとんど彩りを持たせない。かと思えば過激なことをポンと言ったりする。そのへんが凄く日常的だなあと。
今までのゲームと比べると事件性が少なくて、どうしてもおとなしめな印象を受けるシナリオだけど、日常的な描写からの激情的な愛の描写への変遷が見事だったと思う。

考えなしに始めたけど、この順序で勧めてよかったかな。智子ゲーなだけに、智子ルートをクリアしてしまったらあとは消化試合になってしまうし。無印、remind of youができたのもよかった。無印は何故かスキップ機能が初期化されててめんどくさかったけど。PS2版のtwo of usもやってみたい。ちょっと調べたら知らない画像が結構あるんだよね。しかもよさげなのが。無理矢理Director's Cutに入れてもよかったんだよ。あとエロ抜きでも成立するゲームなのでコンシューマ化はよかったかと。

ついでに言うとこのノテノテの限定版は3つのゲーム、ドラマCD4枚、サントラCD(全65曲)が入ってパッケージ版だと定価18000円のもの。今回は6000円で買いました。1ヶ月遊んだしいいだろう…。

4/1に始めて4/30に全クリア。キリがいい。やらなかった日も結構あって、というのは前半は淡々と日常が進んでいったからそんなにがっついた姿勢でもなかったからなんだけど、1日平均1時間~1時間半くらいかなあまじで。だいたい40時間くらいかな…。7エンド+3エンドプレイしたからまあ。

バックログが1ウィンドウずつのためキャプ数は17345個。はるくるの西暦かよ。ルート違いの同一シナリオでもよく比較すると句読点や助詞レベルの違いがあるから、これコピペじゃなくてわざわざ打ち直してたりするんだろうか。もしくは似てるけど紙一重で違うパラレルを演出してるとか…ないな。

なんだろう、正直まだ終わった気がしない。どこかで納得してないんだろうか。はるくるがすっきり終わりすぎたから若干のもやもやがそうさせているのかも。

次なるエロゲは…。残ったのを列挙。今度こそ季節を見るよ。
・Routes 事件もの。ぱっと見季節感はない。
・果てしなく青いこの空の下で ちょっと暗そう。季節は春開始。イメージ夏っぽい。ちょうどいいかも。
・最果てのイマ 敵かぁ…。ぱっと見季節感はなさそう。
・デモニオン 自分が持ってる中で唯一の抜きゲ的なイメージ。いやゲーム的におもしろいって聞いて…。季節とか関係なさそう。
・ユーフォリア ダンガンロンパエロゲ化。季節とか関係なさそう。
・ねがぽじ 今で言う男の娘?ものっぽいけどシナリオが意外にいいとか。季節は2月開始。なんか凄くやりたくなってきた。
まだこんなにあるのか…。この後に買ったやつとか買いたいやつとかもあるんだけど全部ライアーだけど。
季節性を考えれば果てしなくで、2月とか遠すぎてあれだけどちょっとやりたくなったのはねがぽじ。どうするかな。

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